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介護福祉ブログ

2008.10.27

国は介護施設の適正利益率を示せ

10月10日 医療介護CBニュースに興味深い記事がありましたのでご紹介します。
 
「介護人材のスキルアップに対するインセンティブが必要だ」と訴える武久さん
 
 来年度の介護報酬改定をめぐる議論が年末にかけて本格化する。介護分野での人材確保を促すための報酬の在り方などがテーマになる見通しだ。厚生労働省は早くも報酬を引き上げる方針を示しているが、日本慢性期医療協会会長の武久洋三さんは、議論に先立って介護3施設の「適正利益率」を明らかにするよう主張している。
 
■介護スタッフにスキルアップのインセンティブを
 
―介護報酬改定をめぐる議論が年末にかけて本格化します。
 介護保険制度は、厚労省が創設したものです。従って、自分たちがつくり上げた制度を持続して、利用者のためによりよくしていこうと、当然考えているはずです。そのためには、優良な事業者が適正利潤を確保し、それを人件費として適切に配分して、適正にサービスを行えるようにする必要があります。次々と事業所がつぶれていくような報酬体系では、良質なサービスは提供できません。こうした流れを確保するには、どの程度の利潤があれば施設や事業所を運営していけるのかを、まず明らかにする必要があります。
 10月の社会保障審議会介護給付費分科会に示された調査結果によると、介護老人福祉施設(特養ホーム)の利益率は、3年前の13.6%から3.4%にまで下がりました。介護老人保健施設(老健施設)でも、12.3%から7.3%に、介護療養型医療施設(介護療養病床)も3.4%から3.2%に下がっています。つまり、介護保険施設の利益率はすべて下がっているのです。
 
 施設ごとの推移では、特養ホームと老健施設が大幅な減収だったのに対し、介護療養病床では微減でした。しかし、だからといって介護療養病床の点数を下げればいいとは限りません。こうした調査をするからには、どの程度利益を出せれば施設経営が成り立つのか、標準を示す必要があります。
 仮に10億円を借り入れて定員100人の介護保険施設を造り、20年をかけて返済する場合、1年の返済金は5000万円となります。税引き前利益が1億円なければ返済できません。最低でも25%の利益率が必要なのです。それなのに、利益率はこれまで13%程度にすぎず、この3年間で3%にまで下がりました。これでは事業存続自体が困難です。
 適正な利益が確保できないと、人件費削減という形でスタッフにしわ寄せが及びます。実際に、しっかりと勉強して資格を取った介護福祉士に、十分な報酬を出せない施設が多いのです。介護業界からの人材離れはその結果でしょう。
 
―確かに、介護福祉士の報酬は驚くほど低いようです。
 介護人材不足の背景には、ステップアップへのインセンティブを与える仕組みが整っていない状況もあります。介護保険に携わる資格には、ホームヘルパーや介護福祉士、社会福祉士、ケアマネジャーなどいろいろありますが、施設に対する現在の介護報酬体系では、どの資格を持っていてもほとんど評価に差がないのです。
 極端な話をすれば、学校に通って介護福祉士の資格を取得した人と、資格のない人を雇った場合で報酬は変わりません。介護福祉士が何人居ても同額です。そのため、資格取得者への報酬を上乗せしようとしても、各施設が持ち出しで対応するほかありません。介護保険施設では、介護職員のうち介護福祉士が30%以上や50%以上確保できていれば加算で評価すべきです。その加算分を介護福祉士の給与に反映させることができます。
 
―人材確保に関しては、地方と都市部とで状況がかなり異なるようです。
 人材確保の観点で言えば、都市部の方が厳しいでしょう。介護以外の産業が成熟しているからです。皮肉なことに、世の中が不景気になった方が介護施設にとっては人材を確保する上でチャンスなのです。これも変な話ですが。
 
■国の誤算、療養病床削減で救急現場が悲鳴
 
―最近では、療養病床の削減による影響が問題視されています。
 国の療養病床の削減計画に伴って、介護保険施設などに病床を転換する動きが加速しています。ところが、介護保険施設には医者や看護師によるサポート体制が十分に整っていないので、容体が急変した入所者は、救急車で救急病院に運ばれます。実際、救命救急センターを受診する必要がない患者さんまでセンターに運ばれてしまう状況です。
 
―そうなると、救急医療の現場が困ってしまう。
 そうです。元の施設へ退院していただこうにも、酸素吸入などの処置をしていれば難しいのです。退院できない患者が増えると、新しい患者を受け入れられなくなる。ですから本来は、軽症の救急患者は医療療養病床で対応すべきなのです。急性期医療に先立って医療療養病床が受け入れてトリアージすれば、医療費の観点からも断然安上がりでしょう。
 国は療養病床を削減すれば医療費まで減らせると安易に考えたのでしょうが、削減による影響が救急患者の「たらい回し」などの形で医療界全体に広がってしまいました。ついには、救急病院から「療養病床を削減するな」という声が上がる始末です。医療現場は全部つながっているのです。国としてもこれは誤算だったでしょう。
 療養病床が必要かどうかは、最終的には市場が決めることで、国が判断すべきことではありません。供給が不足して困るのは国民です。療養病床の削減によって、必要なサービスを受けられない"医療・介護難民"や"救急難民"が実際に問題になっています。国はいつもこうした問題が起きて初めて動きますが、これでは遅いのです。
 
 国は「在宅死」を増やす方針のようですが、近年は在宅医療で対応するのが難しい患者さんがどんどん増えています。在宅死が80%台だった時代も確かにありました。しかし、それは在宅で受けられる医療と病院での治療との間にあまり差がなかったからです。「受けられる医療に差がないのであれば在宅で」ということだったのでしょう。
 今や両者の差はあまりにも大き過ぎます。在宅で人工呼吸器を装着したり、人工透析を実施したりするのは、現時点ではとても困難です。お年寄りを大切に思う人が在宅死よりも「病院死」を選ぶことも、仕方がない面があります。―来年度の介護報酬改定では、厚労省も引き上げの方針を示しています。
 来年度の改定がどうなるのかは、選挙(衆院選)の結果次第でしょう。政権が交代すれば、ドラスチックに方向性が変わるはずですから。厚労省幹部も報酬引き上げの方針を示していますので、引き上げはまず間違いないでしょう。先程も申し上げたように、どの程度引き上げれば施設経営が成り立つのかをまずは示してほしいです。
 
■高度なノウハウ伝授、「慢性期医療認定講座」
 
―日本慢性期医療協会では、「慢性期医療認定講座」を立ち上げるなど新たな取り組みを展開されています。
 急性期病院の在院日数の短縮が進む中で、慢性期医療の現場では、急性期治療終了後すぐの患者さんを引き継ぐようになってきています。
 こうした変化に伴って、これまでよりも高度な慢性期医療が現場には求められています。また、リハビリテーションや在宅医療へのサポートのための知識なども必要です。
 認定講座は、慢性期医療の現場に携わる医師と看護師を対象に、こうしたノウハウを伝えるのが目的です。9月から開催した第1回講座は受講申し込みの受け付け開始から3日で定員が埋まり、最終的に118人が受講しました。来年1-3月に第2回を開く予定です。

投稿者:防犯設備士(2008年10月27日15:22:22) 

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